50歳からのラブストーリー すべて

55歳の私がハマった”推し活”から発展した恋の行方

アイドルの”追っかけ”が生きがい

 10代のころから「追っかけ人生」です。ジャ〇ーズから始まって、アングラのロック歌手に貢いだり、韓流ブームにも乗りました。異次元のオーラ、特別な才能、美しい容姿とかにやられてしまいます。

 今年で54歳ですから、かれこれ30年はやっています。昔はただコンサートに行ったり、グッズを買ったり、プレゼントをあげたりして、文字通り「追っかけ」ているだけでしたけど、SNSが普及してからは、この世界も変わりましたね。

 私もブログを書いていますが「推し」の情報や自分の感想を発信して共感してもらえたり、「知りませんでした!貴重な情報ありがとうござます」みたいに感謝されたりすると、すごくやりがいを感じます。「推し活」という言葉の方が最近は一般的かもしれませんね。推し活は、立派な日本の文化だとさえ思っています。 

”追っかけ”を続ける理由

 幻を追いかける夢追い人だと言われたことがありますが違いますよ。超リアリストです。自分は才能がなく特別な人間ではないことを知っているから他人に憧れるんです。

 ときどき普通の人間なのに大きな目標にチャレンジしている人がいるじゃないですか。素晴らしいとは思うんですよ。でもああいう人の方が夢見がちだなって思います。追っかけには自分の限界を知っている人、受け入れた人が多いと思います。

 退屈な人生に「お気に入り」をスタンバイさせるのは、平凡な自分とつきあうためのサバイバルテクニックです。日常生活の励みにしています。

 追っかけ&推し活は、私の人生になくてはならないものです。

人生最後の「推し」?彼との出会い

 勤めている会社は東証一部に上場している大手企業です。伝統ある会社で社風も古く、社員旅行もあるんですよね。まだコロナが完全収束したわけではないのに、取引先に泣きつかれたとかで、この悪習が復活。おつきあいのある温泉に行きました。

 

 大広間で旅館の社長から挨拶を受け、ビールの栓を抜き、昭和型大宴会をしました。その時、ふすまが開いてステージにマツケンサンバを歌う時の松平健さんみたいな恰好をした男性が登場したんです。

「東京の勝ち組、〇〇社のみなさーん!田舎の落ちぶれた旅館へようこそ!え?そんなのこの旅館の皆さんに失礼じゃないかって?大丈夫!ここ、オレの実家だから」

どっと笑いがおきました。

「社長はオレの弟だから。飯がまずいとか、建物が古いとか、クレームは全て、弟へ!」

社長さんは苦笑い。スタッフの方もくすくす笑っていました。

「いよ!」

男性社員の誰かが掛け声をかけました。

「いいねえ。その合いの手。やっぱり空気よめないと、古い会社では出世できないよね!」

笑いがやまなかったのを覚えています。

 この男性が私の「最後の推しメン」桃太郎でした。桃太郎は仮名です(笑)。でもあたらずも遠からず。彼は、覚えやすいけどダサくて痛々しいトンデモ芸名でドサ回り巡業をしている演歌歌手でした。

年甲斐もないキレキレダンスを見て感じたこと

 彼はキラキラのモールを首から下げて、マイクを片手にステップを踏みました。演歌だけでなく場を盛り上げるためなら何でも歌うようです。何才だろう。あの社長の兄なんだから50の峠は超えているはず。着物の裾さばきも華麗にくるりとターン、ピタリ、と止まったのをみて、それなりにダンスの練習を積んできた人なんだと分かりました。

 笑顔だけど目が笑っていない。プロの表情です。私は彼のパフォーマンスに釘付けになりました。体の内側からフツフツと湧き上がってくる何か。この感覚は今までにも経験してきたアレです。運命の「推し」に出逢ったんだと分かりました。

推し活、始動!

 「これ、僕っちのCD!勝ち組の皆さん、買ってね!」

彼がマイク片手に叫んだので

「買います」

と私が応じると、彼にも周囲にも驚かれました。私がやった最初の「推し活」です。

「こんど東京にも行くからおいでよ。新宿のすっげ~、狭くて汚くて由緒正しい場末のバーで歌うから」

と言われ、絶対に顔を出すと決めました。

 新宿では、彼の歌も聞きましたし、一緒にお酒も飲みました。要するに小さいバー&クラブなので、飲んでボトルを開けるのが肝心みたいです。

「僕はねえ、歌った後、こうやって一杯やってるときが一番幸せ。しかもねえ」

と言って私を見て

「あなた、名前なんだっけ」

「真由美です」

「まゆみ?まゆちゃんね?まゆちゃんみたいに、僕の歌をちゃーんと聞いて、ちゃーんと僕のこと分かってくれる人が傍にいてくれるとね、さらに最高な気分」

まんざら嘘でもなさそうでした。周りが聞いたら何のアホ臭い会話かと思うでしょうが、アーティストとファンの間には、他人には入れない絆と愛があるんです。

アパートに誘ったら

 私は閉店までいました。バーが閉まると、桃太郎さんはバーの経営者のアパートで一泊するんだと言います。

「お金ないでしょ。いつもこうよ」

 私は思い切って

「良かったら私のアパート使ってください。ここから近いんです。私は今から仕事なので家にはおりませんし、汚いですけど、ゴロゴロしていただく分には」

と言うと、

「いやいや、それは駄目だよ。例えばね、僕が悪い奴で、まゆちゃんのお部屋でドラッグとかやったら大変でしょ?人生終わりよ。簡単に人を信じちゃダメダメ駄目よ~」

 いい人だと思いました。ファン心理を利用して、貢がせるような男もたくさん見てきたからです。ふざけているけど温かい人だわ。

「本当に大丈夫ですよ。桃太郎さんのこと信じてますって」

と言ってバーのマスターを見ました。マスターは私を品定めして

「モモちゃん、お言葉に甘えたら?」

と援護射撃をしてくれて。

「あら、そう?いいのかねえ。こういうの。まあでも、まゆちゃんはお勤め先もしっかりしてるし、私と違ってちゃんとした社会人だから。私も信用しちゃおうかなっと」

そう言って、荷物をもって、私のアパートへ。

 何にもありませんよ。

でも私は彼がソファでグーグー寝るのをみて、すごく癒されました。

この人を大事にしたいな、応援したいな、と思いました。

恋の行方

 で、いま彼は東京にくると、私のアパートをねぐらにします。彼は私のことを「東京のマネージャー まゆちゃん」と呼びます。最近、長年の推し活キャリアを生かして、彼のインスタの投稿を手伝っているんです。会社はもちろんやめてませんよ。あくまでお手伝い。

「まゆちゃんとオイラはそっくりさん」

彼が言ったことがあります。

「どのへんが?」

「ひと様から痛い大人だと冷ややかな目でみられているところ~♪」

「失礼な」

こんな会話をしています。彼と一緒にいて癒されたのは、確かに似た部分があるからかもしれません。

 追っかけ人生を送ってきて、傷つくこともありました。”リア充(妄想ではなく現実世界が充実している)”な後輩たちをみて惨めに感じましたし、ひそひそと社内の人が自分のことを笑っているのを聞いたこともあります。

 でも私は生き方を変えませんでした。変えられなかっただけ、と言われてしまえばそうなんですが、プライドもあるんです。

 彼もきっと同じ。後からデビューして先に売れていく後輩や、旅館を継いだ弟と自分を比べる世間と戦ってきたのだと思います。

 私たちは盟友です。私は彼の歌も人柄も大好き。彼の魅力をたくさんの人に分かって欲しい。よし!これから私の人生は、桃太郎だ!と、いま燃えています(笑)。

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