彼と会うのを、やめられない
人妻ですが、夫以外の男性に定期的に会っています。相手は高校時代の同級生I君。「君」って言うにはいい歳ですがそう呼んでいます。だって同級生ですからそれが自然なんです。私たちは二人とも51歳です。
再会のきっかけは「同窓会の会報誌」でした。私は母校の近くに暮らしています。同窓会の事務局は敷地の中にあるので、通いやすいよね?と、部活の先輩に引きずられるように活動に参加しました。夫は海外に単身赴任中で、二人の子供は遠方の大学に進学して家にはおらず、時間はありました。
母校は100年近く歴史がある進学校なので、卒業生の中には著名な人もいます。私がお手伝いすることになったのは、活躍している卒業生を特集するページでした。その取材で会った人がI君でした。
女生徒の注目の的だったI君
I君は背が高く、しょうゆ顔のハンサムな若者でした。野球部のエースとして活躍し、新聞の取材を受けたことがあるのを覚えています。短期間ですが校内のミスとつきあっていました。現役で東大に進学し、経済学部を卒業したあと大手銀行に入行。長い海外赴任を経て退社し、経営者に転身しました。
別に親しくないのに、卒業してからも彼の情報は随時アップデートされて伝わってきました。「東大でさっそく女の子と歩いていたらしい」、「イギリスにいるらしい」、「起業したらしい」、「まだ独身らしい」などなど。別に好きではないけれど、気になる同級生。そういう位置づけです。だからやっぱり、私たちの王子様なんだと思います。
I君との再会
I君とはすぐにSNSで繋がることができました。彼はグリーンテクノロジー系の新しいビジネスに投資をしていて、経済番組で紹介されたこともあります。
私は彼の顔が分かりますが、彼は私が分からない。待ち合わせのカフェでは、私から声をかけました。「N高同窓会事務局のHです。この度はお時間を作っていただき・・・」言い終わらないうちに、「覚えてますよ~。Kさんでしょ?テニス部でしたよね?変わらない!」と笑いました。同級生とはいえ話すのは初めてです。気さくな対応に私の緊張はほぐれました。
彼は近くで見ても、スーツも髪型も手入れが行き届いていて、やっぱり素敵でした。
同級生って不思議です。学校に通っていたころは赤の他人なのに、広い社会で会うと、すごく親しい人に出会った気がします。地元も同じ、受けた授業も同じ、すごした場所、青春も同じ。
I君と私は共通の知り合いのうわさ話、担任の(I君と私は3年のとき同じクラスでした)先生が副校長になっていること、N高生御用達の雑貨屋がコンビニになっていること、話題はつきませんでした。私、久しぶりにたくさん笑いました。
もちろん取材もしました。彼が以前に立ち上げ、大手の通販会社に売った事業の話。いま取り組んでいるビジネスの話。主婦の私にはついていくのが難しい部分もありましたが、分かりやすく説明してくれました。
彼からの告白に動揺して
「Kさんって呼んでいいですか」。旧姓で呼ばれてドキリとしました。「ご主人は何をされているんですか?」旦那の値踏みをされている、と感じました。「会社員だよ。精密機械関係。今、タイに赴任中なの」「へえ」。男の世界のマウンティングみたいなものでしょうか。
彼は遠慮なく私のことを聞いてきました。夫との馴れ初め、子供の有無、人数、年齢、仕事はしているのか、なぜ同窓会の活動をしているのか、etc。「幸せ?」「まあ、それなりに」「それなりの幸せって、いちばん幸せらしいよ」。優しいのか意地悪なのか、分からないことを言われました。
「僕ね、Kさんのこと気になってたよ。高校ん時」。・・・え。「部活のとき、テニスコートが見えるじゃない。見えるんだけど・・・。足のきれいな人だな~、動きも機敏だな~って見てた」。知らなかった。「だから今日、再会できてすごく嬉しいのです」。そう言って、彼はコーヒーをズズっと飲みました。
その日以来、私はI君が気になってしまって。見られていたですって?気になっていたですって?ミスN高とつきあっていたじゃない。すぐ別れたけど・・・。昔の記憶を思い出そうとしたり、なぜ彼がそんなことを言ったのか考えてみたり。一日中、彼のことを考える日々が始まりました。
誘いを何故か、断れず
取材が終わった後も、彼からスマホに連絡が入りました。「また会いたい」と。「会おうとよ」でもなく「会えない?」でもなく「会いたい」。すごく「オス」を感じました。まるで最近、私が彼のことばかり考えていることを見抜いているみたい・・・
でも「私も会いたい」と思ったんです。会うだけなら・・・。同級生なんだし。
それで行ってしまいました。前回と違うのは昼のカフェでなく、夜のバーでした。私たちがN高生だったときに、よく使っていたファストフード店の近くにありました。
I君の30年
その日、彼は自分のことを話しました。入社3年目の25歳でイギリス赴任が決まって人生設計が狂ったこと。彼が勤めていた銀行では、たいてい入社5年目以降の既婚者が行くのだそうです。だから彼もそれまでに「相手をみつけよう」と思っていたとか。「とにかく、アレで婚期を逃した」と笑います。イギリスなんて多くの女性が喜んで行きそうですが、当時25歳の彼の周りにいる20代前半の高学歴な女性たちには、仕事を辞める結婚はハードルが高かったようです。
イギリスには1年しかおらず、東欧→イギリス→中東→退職。「とにかく会社都合で異動することに疲れてさ。いい加減日本に戻って、日本の女生と結婚したかったから、辞めた」。「結婚したの?」「難しいよ~。帰国してすぐ起業したから。仕事仕事仕事!で、今に至ります」。寂しいのかな。勝ち組にしか見えないけど。たぶん彼は常識派で「独身」「未婚」という自分の属性を、重く受け止めているのかもしれない、と思いました。
許してしまった「唇」
帰り際、雨が降っていました。私は慌てましたが、彼は折り畳み傘をもっていました。「いつもカバンに入れっぱなし」。私たちは1つの傘の下で、歩き出しました。
「今日、なんで来たの?」彼が静かに聞きます。「一人で暇だから」「じゃあ僕は暇つぶしなんだね。いいなあ。Kさんは、もう人生上がりだね。お子さん、成長して自由な身の上」「そんなことないよ(笑)」「あるよ。もう役目はほとんど終わってる。何か新しいこと始めればいいのに」「新しいこと?」「旦那さんと別れて、別の人と違う人生歩んでみるとか」「いやいやいや・・・」「まだ51歳だよ?」彼がぐいっと顔を近づけてキスしてきました。「ちょっと!」突然すぎて、驚くひまもありませんでした。身を後ろに引いたけど、私は、例えば、走って逃げたり・・・はしませんでした。彼も、それ以上は迫ってきませんでしたし・・・。何事もなかったかのように、また私たちは歩き出しました。
駅が見えてくると、「じゃあ、今日はつきあってくれてありがとう。またね」。最後は大変そっけなく、彼は傘をたたんで背中を向けて、駅の改札へ消えていきました。私の唇に、キスの余韻だけ残して。
1回のキスが、私を変えた
それで、どうなったかというと。「彼と会うのをやめられない」という状態になっています。
彼からの突然のキスは、新しい私を誕生させました。私は今、夫以外の男性に惹かれている。それをクールに受け止めたんです。もっとごちゃごちゃ考えるのかと思っていましたが、そんなことはありませんでした。私は、私が思っていた以上に、ずるくて悪い女でした。
体の関係には至っていません。でも会えばキスをして、抱き合って・・・ます。私は、この関係をやめるつもりはなくて、夫や子供や近所や親戚、友人にバレないように、やり続けようと決めました。
自分でも驚いています。以前の私には考えられないこと。自分自身が出会ってこなかった、まだ知らない自分がいるんだと知りました。
彼に捨てられるかもしれないし、家庭が崩壊するかもしれない。ハイリスクの入口にいるのは分かっています。でも麻薬みたいに彼との関係は、私をとらえて離さないのです。
彼はどうしたいのだろう?たぶん彼も分からないんだろうな・・・。どんな男の人なのか知らないけれど、今まで独身だったのだから、これからも結婚は無理なんじゃないかな、って思います。でもそれは、彼が考えること。私はただ、呼ばれたら会いに行くだけ。今日もブブッとメールが来て「会いたい」とあります。
今日はどこまで行くんだろう。どこまで・・・。と毎回考えます。いまから起こること、明日のこと、全て分かりません。なるようにしか、ならない。そう思って、私は彼に会うための支度をするのです。
まとめ
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