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60歳からのラブストーリー

70歳と67歳の熟年カップルが出逢った意外な場所とは?

70歳と67歳の熟年カップルが出逢った意外な場所とは?

残りの人生を大切な人と過ごしたい

 いま67歳です。ある男性と真剣交際しています。結婚も視野にいれていて、入籍するとどうなるかを二人で調べている段階です。家族や社会人としての評判・世間体など、今まで築き上げてきたものがたくさんあるので、慎重に進める必要を感じています。しかし残りの人生を、何もしないで生きるつもりは二人とも毛頭ありません。 

きっかけは孫の水泳教室だった

 相手の男性Wさんとは孫の水泳教室で出逢いました。

 孫は11歳、小学校5年生の男の子ですが、6歳ごろに水泳教室から「選手育成コースにうつらないか」と声がかかりました。

 でもこの育成コースというのが週に最低3回以上、土曜日なんて朝7時からというスケジュールで、親の送り迎えが大変なんです。母親である私の娘は仕事もしているので、泣きつかれて私が送り迎えをしています。地方在住ですから、車で娘宅まで行き、スクールへ連れて行ったあと、終わるまで待って、連れ帰る。それが私の日常です。

 実は、私はシングルマザーとして娘を育てました。だから夫はいません。まだ69歳なので、日本女性の平均寿命を考えると、残りの人生が長いなあ、と思ってはいました。だから孫の世話は生活の励みになっています。

やってきた「転校生」とお爺ちゃん

 ある日、孫が駐車場で知り合いらしい男の子にバイバイしました。そして車に乗り込むなり「今の子ね、ミナト君っていうんだけど、すげえ速いんだ」と興奮気味に言います。ちらりと見ると、ミナト君は体格のいい祖父と思しき男性と一緒でした。「あのジージもね、昔ね、水泳選手だったんだって」。孫は車の窓をウィーンと開けて「おーい!」とミナト君に手を振りました。ミナト君も手を振り返してくれました。彼のお爺さんは私に軽く会釈をしてくれました。

 これが私たちの出逢いです。

初めての会話

 孫が泳いでいる間、私は観覧スペースで子供たちが泳ぐのを見て待っています。ある日、ミナト君のジージの隣に座りました。他に席がなかったのです。

 育成コースではタイムを競う選手を育てているので、子供たちはみんなフォームも整っていて上手なもんです。特にミナト君はずば抜けていました。

 「お孫さん、お上手ですねえ」と私がつぶやくと、「いやいや、まだまだなんですよ」と謙遜する彼のお爺さん。「今のターンは本当に達者。孫も速いんだって言ってました」。「私も、あの子の父親も水泳をやっていたもんですから。小さい頃から泳ぎだけは教えてまして。それ以外のことはさっぱりなんですけどね」と顔をほころばせます。ご自慢のお孫さんのようです。「まあ、そうなんですね。それはサラブレットだわ」。こうやって会話をする仲になったんです。

情報交換する仲に

 そのジージWさんとは、毎回並んでお話しをする仲になりました。育成コースは週3日以上練習に参加することが条件で、うちの子もW家のミナト君も週4日以上来ていました。だから私たちはほとんど毎日会っていました。

 なにせ会う回数が多いし、時間も1時間とたっぷりあるので、私たちは小声でよくしゃべりました。

 ミナト君は以前東京に住んでいたけれど、Wさんの息子さんがUターン就職で地元に戻ってらしたこと。その時息子さんは離婚をしたこと。Wさんは年下の奥様を50代のときにガンでなくされたこと。ミナト君にはJ高校に行って欲しいこと。

 またコーチの評判なども聞かれたので、あのコーチはこういう性格で・・・、数年前の〇〇選手は××コーチの教え子で・・・などなど、私も知っていることを伝えました。孫のこと、水泳のこと、自分のこと、たくさん話しましたね。

おとずれた変化。私が気が付いたこと

 1年近くそういう関係が続きました。しかし小学校6年生だったミナト君が中学校に進学するにあたって、クラスが変わることになったんです。つまり会う時間帯が合わなくなりました。

 それが分かった時、とても大きな喪失感を感じました。ほとんど毎日お会いしていたし、ともに孫たちがタイムを伸ばしたり、大会にでる機会に恵まれたりしたら喜び、逆にスランプに陥ったり、順位が下がったりする辛さも共有してきた仲だったので、がっくりきました。

 Wさんと話していて気が付いたのですが、私は娘が結婚してから、自分のことを誰かに話すことはありませんでした。

 シングルマザーになったとき、親戚とも関係が疎遠になりましたし、シンママの友達とも、子供たちの成長や独立とともに、会う機会が減っていきました。

 年をとるにつれ、人に会うのが億劫で、会っても本音で話せませんでした。様々な人生を歩んでいる同年代の方とは、自分のことは話題にしない、また聞かない、せいぜい無難に天気やペットや病気や保険の話をするくらいです。

 孫というきっかけがあったとはいえ、Wさんと私生活や人生のことを赤裸々に話していることに私は驚きました。この年齢では、特別なことです。Wさんも、男性ですから弱音はみせませんが、きっと孤独なんだと思います。私との時間を楽しんでくれていると感じていました。

お互いが、いなくてはならない存在に

 ミナト君との最後の練習日、私は勇気をだしてWさんに言ってみました。

 「こうしてご縁があったのに、まったくお会いできなくなるのは本当に残念です。よろしければ、連絡先を交換して、これからも機会を作って会いませんか。私も一人で気楽な身の上なので、寂しいですし、お友達ができると嬉しいです。ご迷惑でなければ・・・」

 これを言われたWさんは、パアっと日が差すような明るい表情をなさったんです。私は勇気を出して言って良かった!私の選択は正しかったみたい、とホッとしました。嬉しかったですね。

 私が前のめりな態度だったので、彼は確信を持てたからでしょうか。そのあとは積極的に私との関係を縮めてきました。ここで会いましょう、ここに行きましょう、と意外に肉食でした(笑)。

 70歳になったばかりということですが、もともと体格のいいスポーツマン。少し自信家な一面もあって、リーダーシップをはりたいタイプみたいです。私はシングルマザーとして気を張って生きてきた女ですが、今はWさんを立て、しおらしい女性になっています。自分でも可笑しいです。

私が長年あこがれていた夢とは

 Wさんはコソコソするのが嫌だと言って、この関係をもっとオープンにしたいようです。別にコソコソしているわけではないですが、要するに「自分にもちゃんと女はいるんだぞ」みたいな自慢というか、世間に宣言したいみたい(笑)。

 

 それでお互い独り身なので入籍しようかとまで言い出しまして。私も反対する理由はないな、と思っています。

 子供たちの反応が気になるので、細かい「詰め」はこれからですが、まるで、若い男女が結婚するために、いかに親や世間を説得するか、みたいな昔の映画みたいな展開でちょっと面白いです。

 いくつになっても、女は男を、男は女を求めるものでそれが自然だと実感しました。私は最初の男は失敗しましたが、次こそは長年の理想だった「よりそう夫婦」になりたいと今一歩を踏み出そうとしています。

まとめ

ここでご紹介したのは、中高年世代のリアルな恋愛体験談です。

この記事を読んでくださっている方の中には、同年代の方と繋がりたいと思っている方が多いはず!

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