30~40代を不倫にささげて
32歳のころ、10歳年上の職場の上司と不倫関係になりました。大きい会社だったので、部署異動や彼の転勤もあったけど、週末ごとに会いに行ったりして17年、18年ですかね?数えるのも馬鹿らしいほど長くとらわれていました。
結婚したいという気持ちはずっと持っていました。でも当時は「彼との結婚」にこだわっていて周りが見えていなかったと思います。
私の不倫相手の奥さんは、私たちの会社で正社員だった人です。私も新入社員時代に見かけたことがあって。しばらくして退職されましたが、その理由が「鬱(うつ)」。私にしてみれば、夫も子供も仕事もあって、羨ましい限りでしたが、他人には分からないことがあるんでしょうね。
妻が鬱だから、彼の結婚生活は大変だったと思います。だから、いつか彼が結婚生活に限界を感じて終止符を打ち、私のところに来るんじゃないか・・・と期待していました。「私が彼を支えている」みたいなおごった気持ちがあって、関係が続いてしまったんです。
「離婚しないと決めた」彼の一言で、全てが崩壊
うちの会社は60歳が定年なんですが、彼がその時を迎えるにあたって、今後のことを話し合いました。私から切り出したんです。第二の人生を促す(離婚する)タイミングだと思ったんですね。
でも彼は「離婚しないと決めた」。「なんで?」って聞き返して、いろいろ説明を受けましたけど、きちんと聞けていなかったと思います。費やしてきた時間やら思い出やら、私の愛人としての矜持やプライド・・・、いろんなものがドーっと崩れ去っていく感じで。ついに答えがでてしまったんです。
本当はもっと前に分っていたんですよね。私が見ないふりしていただけで。馬鹿なんです。しばらくはご飯も喉を通らないほど、苦しみました。
「私は結婚する」と決意。熟年向けの結婚相談所へ登録
一人で悶々と考える日を過ごして、スピリチュアル系の本やブログを読み漁って、自分と会話したんです。結果「結婚したい」という気持ちに気が付きました。私だって「普通の女」としての幸せを体験したい。相手は彼でなくてもいい。とにかく、「結婚したい」。
それで熟年者向けの結婚相談所へ登録しました。他に方法を思いつかなくて(笑)。50歳になる少し手前です。たくさん出逢えて、コンサルタント(アドバイザー)のサポートも無制限で受けられる「お急ぎコース」を選び、入会に25万円払いました。
コンサルタントと二人三脚で「お相手さがし」
我ながら「賢明だった」と思うのは、コンサルタントさんの助言を真面目にきいたことです。もちろん誠実で経験豊富な人であることが条件ですが、私の場合は「あたり」の方でした。
プロフィールを書く段階から親身に相談にのっていただきました。最初は普通にアンケートの項目に答える感じで「同居はのぞまない」「タバコを吸わない」「年収600万円以上」などなど。好みの条件を淡々とチェックしていく感じでしたが、コンサルタントさんに「50歳で結婚相手をみつけるわけですから、全てにYESと答えるくらい寛容な姿勢でいた方が良いご縁がある」とやんわり、たしなめられて(笑)。確かにそうですよね。一般的な条件を満たしていても不誠実で、不幸な結婚生活を強いる男性はたくさんいます。働いていて、暴力をふるわない人。気が合って、私を選んでくれる人。これくらいで十分だと思いました。
腕利きのコンサルタントさんが、真由美さんにおススメしてくれた方とは
私が入会した結婚相談所では、「ご紹介」という制度がありました。パーティーに参加したり、自分でネット検索もできますが、そうすると「自分のこだわり」から抜けられず、出逢いも限定的になりがちです。「ご紹介」は婚活のプロが第三者の目線で「あなたにはこの方がおすすめ」といって引き合わせるシステムです。
実は、「ご紹介」を使う前にネットで知った会員にお申込みを何度かしたんです。でもダメでした。まず会っていただけませんでした。私の傾向として「大企業のサラリーマン」を選びがち、というのがあって。私が大手で働いていたし、自分の父も親戚もそうだったので、結婚するなら同じ環境の方がいいという思い込みです。でも安定企業の社員さんはもっと条件がいい、つまり若い女性との結婚を期待していたようです。相談所には40代の女性もいましたから。
コンサルタントさんがおすすめしてくれた方は、同い年の自営業の男性。マッサージ店を経営していました。15年前に脱サラして自分のお店を持ったとか。ご両親が健在で同居中。このご両親が不動産をもっていて、賃料がいくらか入ってくるとか・・・。だから完全に自立しているというよりは、親に依存している人だという印象でした。
こういう人、嫌じゃないですか?私は「親と同居」「自営業」って聞いただけで、「無理」と判断していたんです。でもコンサルタントさんが「先方が真由美さんに会いたい、とおっしゃています。自分に関心を持ってくれる方は大切にして下さい。私もあちらの担当者と話しましたが、しっかりした男性のようです」と強くすすめられて。会ってみることにしたんです。
お相手との初デートで好印象をもったけど・・・
デートと言っても、最初は相談所が用意したホテルのラウンジでお茶をするだけです。
「昔〇〇会社で働いていたんですが、独立したいという想いが強くてやめちゃいました。今思えば軽いっつーか。若気の至りですよ~」と屈託なく言うんです。私が「事業はすぐにうまくいきましたか」と聞くと、「ぜんぜん!3、4年は赤字とにらめっこですよ。貯金を崩しながら暮らしてました。きつかったですね~」だそうです(笑)。カッコつけないのがいいと思いました。苦労して苦労して、自分のやる気と能力とお金に何度も向き合ってきた人なんだと思います。
あと私のことを認めてくれたのも嬉しかったです。「真由美さんはずっと同じ会社で働いていて偉い。立派な会社だけど、古い体質でしょ?理不尽だって思うことも、たくさんあったんじゃないですか?飲み込んだんですね。大人ですねえ」だそう(笑)。ただ単純に環境を変えるバイタリティーがなかっただけなんですが。
ご両親との同居を受け入れる?
2回目のデートは焼き鳥屋でカウンターでの食事。3回目はドライブ。その3回目のデートで彼が自分のお店と管理しているビルをみせてくれました。彼が自分から「これが、そう」と案内してくれたんです。突然すぎて「え?」って感じでしたが(笑)、私との結婚を考えているというサインだと思って、私も心の準備を始めました。
彼は同居が希望だったんです。お兄さんがいるんですが、他県に家を建てていて、もう帰ってくる気はないとのことでした。ご実家は祖父の代からお酒の卸をやっている会社だったのを、ご両親が数年前に閉めて、いまはビルをテナントで貸しているらしい。
私は「50代の未婚男性が親と同居している」と聞くと、なぜか「ぼんくら息子が結婚もせず親のすねをかじっている」という関係をイメージしていたのですが、実際は逆でした。彼は高齢のご両親の面倒を経済的にも社会的にもみています。
でも同居はなかなか決心がつかず、コンサルタントさんに相談することにしました。
同居の結婚を決意。その前に取り決めた約束(条件)とは
コンサルタントさんは私と一緒に同居のリスクを考えてくれました。一番の懸念は「介護」です。ご両親は既に80歳前後で、いつ要介護になるか分からない。もちろん私はのぞんでいません。「お相手からは、親御さんが要介護になったら施設に入れるというお約束を取り付けるべき。そして誓約書を作るべきです」と助言を受けました。誓約書は二人で作成してもいいけれど、3、4万円くらいで専門家に依頼することもできると。熟年向けの結婚相談所だからでしょうか、そんなノウハウも教えてくれました。
私からは言いづらかったので、彼の担当者から、私の不安と意向を伝えてもらいました。正しく伝わったようで、双方とも(私の親が要介護になった場合も)お互い介護を求めないこと、経済的な支援を当てにしないことなどを、誓約書に書くことで同意しました。ロマンチックとはほど遠い話ですが、この年齢になると安心が一番です。
改めてのプロポーズ。家族も呼んでレストランで挙式
実はきちんと結婚を決める前に同居や介護の話をしていたんです(笑)。心配事が落ち着いて、いよいよ彼から「結婚して下さい」と言われました。車の中でした。もちろん「YES」。「指輪はわからないので、今から一緒に買いに行きましょう」と(笑)。出逢って二か月でした。
式もしましたよ。神社で挙式して、フレンチレストランで食事。白無垢とウェディングドレスもちゃっかり着ました(笑)。両家とも両親が健在だったのは幸いですね。二人とも初婚。親戚や友人、同僚にそれは驚かれました。
今は彼のご両親がもつビルの4階を借りて暮らしています。義両親は5階に居住(笑)仕事は続けていて、食事は作ることも作らないことも。彼も不規則な生活なので、生活は「適当」をモットーにしています。
結婚は元不倫相手にも伝わったと思います。もう彼のことは、さっぱり思い出しません(笑)どうしてもっと早くこうしなかったか、自分でも不思議です。昔の私に伝えたいです。目線を変えると幸せになるのは簡単だよ、って。時間はかかりましたが、最終的には気がつくことができました。これで良かったと思います。