老後に始めた新しい趣味
夫と死別してから、インスタグラムを始めました。食べ歩きがきっかけです。インスタでカフェやレストランの情報収集をして、今では自分で投稿もしています。
スマホはiPhoneを使っていますが上手に写真もとれますし、おとずれたカフェやレストランで写真を撮って、感想と一緒に投稿するだけ。操作を覚えると簡単で、楽しんでやっています。
似たような趣味趣向の知り合いが、たくさんできました。コメントやメッセージで直接フォロワーさん(私の投稿を定期的に見て下さっている人のことです)と交流したり、いまのところ嫌な思いはしていません。フォロワーも100人を突破しました。
フォロワーさんとメッセージで交流
私のフォロワーさんの男女比率は半々です。神奈川県在住なので、行くお店は神奈川県内や東京が中心。投稿を見る方もその近辺にお住まいの方が多いです。幸い、電車で行ける距離に素敵な食べ物屋さんがたくさんありますので、投稿内容には事欠きません。
ある日、フォロワーさんの投稿を見ていて「行ってみたい!」と思う素敵なカフェをみつけました。私が大好きな大正・昭和初期テイストのお店。だいぶ発掘したと思っていましたが、まだまだ知らない穴場があるんだな、とワクワクしました。
さっそくコメントで「どちらのお店ですか?」と投稿した方に聞くと、お返事がありました。「鎌倉の〇〇です。お好きだと思います」もちろん行ってみることにしました。
おすすめのカフェに行くと
教えていただいたお店は、写真でみた以上に素敵でした。ステンドグラスがはめこまれた窓や赤いベルベッドの椅子がとてもいい感じです。
頼んだプリンアラモードがくると、さっそく私は写真をパチリパチリ。そしてすぐにインスタグラムにアップロード。「やっと来れました。プリンアラモードを食べてハイカラさんな気分です」。こんな感じです。
写真はすぐに上げるのがコツ。臨場感が出るんです。「いま、ここにいる。いまこれをしている」。そのライブ感を伝えるのが大切みたいです。そんなノウハウも経験で学んできました。
カフェで声をかけてきた男性
すると、「あの、よろしいですか」とマスターが声をかけてきました。マスターのことは事前にインスタで見て知っていました。年齢は50代か60代の男性で清潔感のある人。ときどきカフェでオルガンやアコーディオンを弾いてくれるんだとか。
そのマスターに「ひょっとしてインスタグラムのOさんじゃないですか?」と聞かれて、とってもびっくりしました。
インスタには顔をだしていないのにどうして分かったのだろうと思っていると、「いや、今ちょうどOさんのインスタを見ていたら、スっとこのプリンアラモードがアップされたので。もしや?こちらのお客様がそうなのかな?と思って声をかけてしまいました」とおっしゃいます。そういうことか!と納得した私。「あ、そうなんですね。なんというか・・はい。私です・・・」。マスターの表情が明るくなって「大好きなんです。あのアカウント」と言ってくださいました。
私はフォロワーさんと直に会うのは初めてでした。どきどきしつつも、その言葉を聞いて、とっても嬉しくなりました。それが新しい恋人Aさんとの出逢いでした。
プライベートな情報を交換。お互いを意識して。
その日は平日で、カフェもあまり忙しくなく、Aさんと軽くおしゃべりができました。
Aさんは銀行を早期退職してこのカフェを開いたそうです。もともとこの場所はご両親の持ち家だったことも聞きました。
それ以降インスタグラム上でメッセージのやり取りをして、カフェ巡りの話だけではなく、自分のプライベートもお話しする関係に。数年前に夫を亡くしたことや、子供が結婚して遠くに住んでいることを話し、Aさんも奥様とは熟年離婚したことを話してくれました。お互い独り身だと分かると、いろいろ考えてしまって・・・要するに、男と女を意識するようになり、だんだん親しくなっていきました。
通い婚の日々
私の自宅からAさんのカフェまで電車で1時間くらいなんですが、私は週に1、2回顔をだすようになりました。Aさんってば冗談っぽく「この建物、2階に空き部屋ありますよ。住んじゃえば?」なんていいます。そして「ウチのカフェの滞りがちなインスタを更新してくださいよ」とも。
現実には私には夫から引き継いだ自宅があり、遠方とはいえ、年に一回は子供も帰ってくるので、新しい場所へ越す勇気はありません。現時点では無理な話ですが、でも時々「あの家に暮らせたら素敵かもな・・・」と妄想します。年齢的に階段など古い造りは厳しそうですが・・・。
それで現在は、週に何回か彼の自宅兼カフェに通っています。インスタの更新や、お掃除やお片づけを少し手伝ったり、彼の夕食を作ったり。それで・・・お泊りする日もあります。
私たちのお泊り
お泊りは何度もしていますが、体の関係はありません。普通にトイレバス洗面台を借りて、今日はお疲れ様でした。お休みなさいと別々の部屋で寝ます。
でもAさんが朝コーヒーを入れながら「Oさんはそういうのは完全に駄目な人ですか?」と聞いてきたことがあります。「すみません」と、その時は答えました。これで関係が終わるのかな?と心配になりましたが、それまで通りのつきあいが続いています。
不思議ですけど、私もだんだんと考えが変わっていきました。老いても男と女ですから、体の関係もありなのだろうかと思うようになってきています。彼がああいうことを聞いてくるっていうことは、きっとのぞんでいるんだと思うので・・・。
亡き夫とすら長くしていなかったので、とても不安がありますが、次の段階として、彼を受け入れようと思っています。鏡に体を写すと、ぷよぷよしたたるみが気になりますが、肌はわりとなめらかだと思うんです。自分の体の良いところを見つけて、励ますようにしています。
彼だって私が若くないことは承知なんですから。それで失望されたり、関係がぎくしゃくしたりしたら、それまでの関係だったという事です。
SNSを始めて広がった世界
インスタグラムを始めて、いろんな人々の投稿をみてきました。様々な考え方や趣味、世界観、人生をながめているうちに、私の生き方も変わってきています。恋人までできちゃいました。いくつになっても女は変わる、ということを今まさに体験していて、とても充実した日々を過ごしています。